▼ 記事一覧 (クリックで展開)

CAD関係
・CADを使った靴型デザイン(その1)【従来の方法との違い】
・CADを使った靴型デザイン(その2)【振り角とヒールカーブ角度】
・CADを使った靴型デザイン(その3)【ヒールのパラメトリックデザイン】
・CADを使った靴型デザイン(その4)【再現性と可逆性】
・CADを使った靴型デザイン(その5)【ルール化とリバースエンジニアリング】
・CADを使った靴型デザイン(その6)【靴型CADの運用モデル】
・CADを使った靴型デザイン(その7)【靴型のパラメトリックデザイン】
・CADを使った靴型デザイン(その8)【3DCADと3Dプリンタの活用】
・CADを使った靴型デザイン(その9)【3Dデザインのその先】
・3DCADによる設計について過去展示物
・EIGHT QUEENとメビウスの輪
・3dCADとかがみ式(3D Modeling Last between Kagami Method)

靴作り
・靴作りの用語(その1)【革の種類】
・靴作りの用語(その2)【靴の部分の呼び方】
・靴作りの用語(その3)【見えない部品】
・靴作りの用語(その4)【甲部分の部品】
・JIS規格の足囲と靴型のボールガースの関係
・かがみ式とは?(What? Kagami Method)

専門向け
・ヒールとれ問題の対策について(その1)【問題の把握】
・ヒールとれ問題の対策について(その2)【故発生の要因の考察】
・ヒールとれ問題の対策について(その3)【対策】※専用センタービス、補助釘の御案内あり
・ヒール強度について

トピック、その他
・ブログはじめます。
・科学と経済
・確率とビジネス(その1)【モンティホール問題】
・確率とビジネス(その2)【確率の理解】
・確率とビジネス(その3)【開発における達成率(完成度)】

2020年01月04日

ヒール強度について(業界向き)

はじめに

ヒールに関しては「ヒール強度」と「取り付け強度」の2種類の試験がありますが、今回ヒール強度にについて言及したいと思います。
以前にヒールとれ問題の対策について述べましたが、今回でヒールの安全性についての議論が完結します。
ただし、「ヒール強度」については数式を使わないと解説できません。
このコラムは材料力学などを知らない読者が感覚的に理解できるように大まかに解説します。
工学の専門家から観れば稚拙な論となりますがご理解ください。

ヒールの強度試験は歩行中にヒールが折れたり曲がったりする危険性がないかをチェックする試験です。
ヒールのおわん部分を固定し重りをトップリフト側先端付近に衝突させる方法で試験します。
衝突時にヒールが変形する限界の重りの運動エネルギーの値で評価します。

小さな衝撃を繰り返し行う疲労試験についてはここでは言及しません。

どのようにヒールは折れるのか?

試験で扱うヒールに加わる力とは、おわんが靴に固定され、歩く時にトップリフトに加わる荷重のうちの曲げ方向の成分と言えます。
つまりヒール衝撃試験と同じモデルと言えます。
実際には座屈方向の力も加わりますが試験では取り上げていません。
棒を両端を持って曲げて折ったり、両端を支えて中央を打撃して折る事とは力学モデルが異なります。
ヒールの強度に関する力学モデルは片持ち梁の先端集中荷重となります。
このことが重要であり、中間部分には外部の力は加わりません。



続きを読む
posted by 株式会社 パイン at 21:52| Comment(0) | 靴作り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月11日

確率とビジネス(その3)

開発における達成率(完成度)
実際のビジネスで起こる、確率や成功率を考えます。
私の経験から実感したことについて感覚的数値をもとに述べるので、言葉の定義は曖昧になりますがご容赦ください。


34.jpg

60%以上の意味
最近はどうか知りませんが、私の時代は学校では100満点中、60点が合格点でした。
商品開発についても、決定率、完成度、達成率、判断力、技能知識、等について60%という数値は1つの目安になります。
例えば、10点の新デザインを開発するとします。
サンプルを作り、1回目に10点の内、6点が合格(決定)しました。
成功率60%です。
残り4点を修正し、2回目のサンプルを再度制作します。
成功率60%ですから、4X60%=2.4で、2〜3点決定し、
3回目では10点中9点が決定し、デザイン開発は収束してゆきます。


拡散の危険性
仮に決定率40%の場合はどうでしょう?
1回目の試作で40%、
2回目で(40+60x0.4)64%、
3回目では(64+36X0.4)78.4%。
4回目で(78.4+21.6x0.4)87.04%となかなか収束しません。
また判断力、知識が40%では、修正点を間違え直さなくてもよい個所を修正して60%の失敗率でかえってダメにしてしまう事も起こり得ます。
こうなると迷走が始まり、収束するどころか拡散してしまう危険性もあります。

開発においては、試作を繰り返すよりは、1回の試作の完成度を上げることが時間とコストという重要なファクターについて功利的な方法といえます。
つまりゴールを明確に示し、事前に問題点を洗い1回の試作で高い達成率を実現することが重要で、試作回数が増えゴールが見えなくなってしまう事態は避けなければなりません。


当てにならない50%の確率
成功か失敗かのどちらかのとき、成功と失敗の2つの事象があるから成功率50%というのは当てになりません。
50%という数字をいう人自身があまりにも無責任でほとんど考えていない場合も多いし、
また50%という数自体が判断基準としてあまり役に立ちません。
むしろ失敗率80〜90%という数の方がはるかに役立ちます。
つまり、社内で「彼の推す新商品(企画)は当たった例がない。」といわれる人がいれば貴重な存在として意見を聞き、その人が選んだ企画以外のものから、採用することが成功率を上げることに繋がります。
「モンティホール問題」のはずれのドアを1つ取り除くことと類似していますが、「逆神の利用 (彼の言う事の反対をやればほぼ正しい!)」とも言われます。

新しい製品を開発するにあたり、必要な関連技術も含めて60%以上の成功予測が立たないとなかなか着手できません。
それ以下の場合、0〜20%は研究、20%〜60%は挑戦(チャレンジ)と呼ぶ方が適当と思います。
ただし、可能性の低い開発でも、成功したときの見返り(配当)が多く見積もられるのであれば経営資源(資金と労力)とのバランスを計りながら挑戦すべきでしょう。


環境変化は100%やって来る
これまでは現在の環境においての考察ですが、技術の進歩、市場等、環境の変化は100%やって来ます。
そのとき、現在の技術力では、要求される製品の開発力とか競争力が不足し企業の継続ができなくなることが予想されます。
すぐに収入に繋がらなくても研究は続けて、今は商品化しない製品の開発達成率を上げ、次の時代に備えておく必要もあります。


・・・つづく・・・・
posted by 株式会社 パイン at 18:09| Comment(0) | トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月29日

確率とビジネス(その2)

確率の理解
「モンティホール問題」の落とし穴にはまらないように、確率についてもう少し掘り下げて考えてみましょう。


publicdomainq-0023706sfd.jpg

賭け事の確率
カジノのルーレットで賭けていたとします。
玉が入る回転盤には1から36の数があり赤と黒に半々に分かれています。(話を単純にするため0は無いことにしておきます。)
赤と黒の出る確率はそれぞれ2分の1です。配当は2倍で返ってきます。
どの様な予測をしてゲームをしますか?

赤に賭けるとして確率2分の1ですから2回に1度は当たると思いがちです。
同じ金額を赤に賭け続けていれば、勝ち負け半々で損得なしになり賭けになりません。これは合っているでしょう。
それでは賭けにならないので赤と黒の出方の流れに乗った賭け方をしようとします。
赤は2回に1度は出るだろう思いがちですが、2回続けて外れる確率は4分の1(25%)あります。3回続けても8分の1(12.5%)あります。
2回続けて負けてもさほど運が悪いと思う事はありません。

直前にどちらが出ようが赤の出る確率の2分の1に変わりません。しかし多数回続けると赤か黒に偏って出る確率は少なくなります。
最も正規化された出方は赤と黒が交互に出ることですが、神様が気まぐれにサイコロを振ることによってランダムな出方をします。
つまり非常に大きな分母に対して分子がは半分になるという法則の上で気まぐれに神様がサイの目を出しているという事になります。

確率の理解として「1回の実行で確率の高い方が必ず来ることはない。」
「モンティホール問題」のように「確率は組み合わせて(または繰り返して)より確実な利を得られる。」
という事がいえます。

ルーレットでは直前に出た色の反対に賭け、負けたらさらに2倍の金額をかけ続け、負けを取り戻したら賭け金をもとに戻すという必勝法がいわれています。(続けて同じ色が出る確率は少なくなっていく。)
これは、一理あります。ただし膨大な元手(資金)があって、カジノに賭け金の上限がない場合です。

カジノのカードケームのテーブルに移ります。
ブラックジャックという引いたカードの合計が21に近い方が勝つゲームです。
最初に2枚配られ、1枚ずつ追加して21に近づけますが合計が21を超えるとその場で負けとなってしまいます。
もう1枚引くかどうかを決め、引いたカードの数が何かが勝負の分かれ目になります。
ディーラーは新しいトランプカードを6組シャッフルし伏せた状態で箱に収め上から順にカードを配ります。
52枚X6組=312枚です。A(エース)から2まで各24枚づつあります。
最初は引くカードの数はそれぞれ確率312分の24、つまり13分の1ですが、ゲームが進むにつれ残りのカードにバラツキが現れます。
例えば2は6枚、3は10枚、4は7枚、5は13枚、・・・といった感じです。
このとき、各々の数を引く確率は異なってきます。全部で123枚残っていれば2は123分の6、3は123分の10,4は123分の7、・・・となります。
もし使い終わったすべてのカードを記憶し、残りカードの枚数から、引きたい数、引いてもよい数、引きたくない数のカードの確率を瞬時に計算できれば後半の勝負は俄然有利に展開できます。
こちらの方が複雑ですが、「モンティホール問題」に類似しています。
ただし、これだけの能力がある人は、分かってしまうとカジノから追い出されてしまうようです。

・・・つづく・・・・

posted by 株式会社 パイン at 21:52| Comment(0) | トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする