▼ 記事一覧 (クリックで展開)

CAD関係
・CADを使った靴型デザイン(その1)【従来の方法との違い】
・CADを使った靴型デザイン(その2)【振り角とヒールカーブ角度】
・CADを使った靴型デザイン(その3)【ヒールのパラメトリックデザイン】
・CADを使った靴型デザイン(その4)【再現性と可逆性】
・CADを使った靴型デザイン(その5)【ルール化とリバースエンジニアリング】
・CADを使った靴型デザイン(その6)【靴型CADの運用モデル】
・CADを使った靴型デザイン(その7)【靴型のパラメトリックデザイン】
・CADを使った靴型デザイン(その8)【3DCADと3Dプリンタの活用】
・CADを使った靴型デザイン(その9)【3Dデザインのその先】
・3DCADによる設計について過去展示物
・EIGHT QUEENとメビウスの輪
・3dCADとかがみ式(3D Modeling Last between Kagami Method)

靴作り
・靴作りの用語(その1)【革の種類】
・靴作りの用語(その2)【靴の部分の呼び方】
・靴作りの用語(その3)【見えない部品】
・靴作りの用語(その4)【甲部分の部品】
・JIS規格の足囲と靴型のボールガースの関係
・かがみ式とは?(What? Kagami Method)

専門向け
・ヒールとれ問題の対策について(その1)【問題の把握】
・ヒールとれ問題の対策について(その2)【故発生の要因の考察】
・ヒールとれ問題の対策について(その3)【対策】※専用センタービス、補助釘の御案内あり
・ヒール強度について

トピック、その他
・ブログはじめます。
・科学と経済
・確率とビジネス(その1)【モンティホール問題】
・確率とビジネス(その2)【確率の理解】
・確率とビジネス(その3)【開発における達成率(完成度)】

2016年08月23日

CADを使った靴型デザイン(その5)

「ルール化」と「リバースエンジニアリング」

靴型モデルの形状は、ルールに基づいて作られる部分と、製作者の想像力により作られる部分があります。

手作業の場合、ヒールの高さ、傾斜、底面の捻じれ、一部の断面など、条件に合わせている要素は少なく、他は感覚的に削られるようにようにみえますが、
この感覚のうちの多くは、作者の経験で積み上げられた形状の記憶を再現しているものであり、ルール(個性)とみなされます。

3dCADの場合、細部にわたって細かくルール化され、計算機が勝手に形状を作り上げてしまう方が、正確に短時間にモデルを制作できるので望ましいのですが、
製作者の持っているルールを数式やテンプレートの形でCADに組み入れる必要があります。
つまり、製作者がルールとして意識していなかったり、曖昧に感覚的に処理してきた部分もルール化する必要があります。


IMGP4937.jpg
リバースエンジニアリングというと、他社製品の模倣とか設計情報の抜き取りとか、あまり良い意味に使われない場合も多いですが、
語意からすると、「ものづくりを遡る技法」ということで、形になっているもの(製品)から設計図をトレースし直すという一般的な事の意味しかありません。

自社の靴型であれ、他社の靴型であれ、設計思想の「ルール化」のためには、リバースエンジニアリングは大変有力な手法となります。
つまり過去の制作されてきた靴型から、3dスキャナ、3dCADを使って計測しルールを明確に読み取ることが出来るのです。

ルール化するためには一人の作者の靴型を出来るだけ多く参照したほうが迷いが少なくなります。(実際、私は30型くらい使いました。)
計測データをプロットし平均的な値で変化を曲線で結んでゆきます。
ヒールアップによる値の変化は、足が関節によって回転変形するので、線形にはなりません(直線上に並ばない)。

変化が非線形であるため、いろいろ想像を加えるにしても最低でも3つのヒール高の異なるデータが必要となります。
概ね2次曲線で近似してもよいと思われます。ただしヒール高が8cm位を超えると関節が一部動かなくなる等の理由で、特異領域が発生するところもあります。
ヒールカーブ02.jpg


設計情報を読み取るには、対象となる製品の設計者と同等の設計知識が必要です。
対象製品を解析していくなかで、何故この様に設計したのか?狙いは何か?など製作者の立場で考察できる力がないと、核心に触れることが出来ません。

製品(物)は設計図と全く同じ状態で残っているとは限りません。
角が欠けて丸くなったり、変形していたり、、、製作者のミスもあるかもしれません。
この曖昧なところを、正しながら再設計できる知識が必要になります。

リバースエンジニアリングの逸話で、ICチップの互換品(エミュレーションモデル)を別の会社が製作したとき、ターゲットICの回路に欠陥(バグ)を発見し修正したものを出荷したら、
互換性が失われた(元のチップ様に作られた、周辺チップが誤動作を起こした)という話もあるので注意が必要です。

靴型の場合でも、ある凹凸が、奇異に感じて「何かの間違いであろうと思い修正したら、足入れ(履き心地の意)の良さが変わってしまった。」などの事が起こりそうですから。


ルールの規定や作成手順はいろいろと考えられ、それによって結果ももちろん変わってきます。
実用性の高い方法を、見つけるためには、色々と試すことが必要ですが、時間がとても掛かってしまいます。
もうしばらく、試行期間に費やしそうです。

今進めている事が、完成すると何が出来るようになるか、どの様なメリットが生まれるかは後日、記載します。


posted by 株式会社 パイン at 18:08| Comment(0) | TrackBack(0) | CAD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック