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・ヒールとれ問題の対策について(その1)【問題の把握】
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2016年04月21日

【専門向け】ヒールとれ問題の対策について(その1)

      IMGP1959.jpg
       ▲ヒールの断面

はじめに
●問題の重要性はどの程度?
最近はヒールに関する事故について、よく話題に取り上げられます。
歩行中にヒールが折れたり取れたりすると、転倒事故など大怪我にもつながる恐れがあるので、常に注意深く作られている部分ではあります。

昔から細いハイヒールでの折れたり取れたりの事故はつきものでしたが、PL法が施行されたころから流通業(特に百貨店等)でこういった事故に神経を尖らせる様になったと感じられます。
同業他社製品で事故が多発すると、卸売業者さんは仕入れ先全社を集め注意喚起され(ここまでは当然のことですが)、チェックが厳しくなり、従来行ってきた作業基準の変更さえ要求される事もあり、傍迷惑と感じることもあります。
この問題を解決するには、とても単純なことで、各メーカーが工学博士を雇い、コストが掛かっても言われるとおりの方法でヒールを取り付ければそれで終わると思います。

しかし靴作りも経済活動であり、メーカーでのコストのかけ方はそれぞれの事情(考え方)があって当然であり、流通業においても価格に係るとなるとあまり厳しくできなくなる様です。
つまりお金をあまり掛けないでヒールとれの事故を無くしたいというくらいの重要性であろうかと思います。
一方、消費者にとってヒールパンプスが危険な靴という印象をもつことは、これを製造するメーカーにとって共通の不利益となるので、事故を減少して消費者に迷惑を掛けないようにすることは重要なテーマです。
問題を抱えている各関係先の一助になればと思い、この問題を取り上げます。


問題の把握
●問題をどのように把握する?
問題はまず店頭で発生します。つまりお客さまが小売店に苦情をよせることから始まります。
これを統計的に把握することが必要です。

私の私見ですが、ヒールの付く靴の範疇で、かりに販売数1000足に対して1足事故が発覚すると、つまり1/1000=0.1%発生するとかなり目立ち、問題として取り上げられることになり、10000分の1程度だと不可避なこととしてあまり問題にされないのではないかと思います。
仮に1000分の1が改善すべき発生率とすると、99.9%は問題ないのですから、このケースを議論しても意味なく、特殊なケースの0.1%で何が起こっているかに注目すべきです。
ヒールとれの事故のデータを取得できる小売店、卸売業が以下のような項目で統計資料を作る(特殊性を知る)ことが問題解決の入り口であると思います。

少なくとも、次の項目での分類は必要です。
◇靴製造元
  :機械や取り付け方法で個別要因が考えられます。
◇ヒール品番
  :ヒール形状や材質などが原因になる可能性があります。
◇どこが壊れているか?
  :センタービスの打たれているヒールは、1.ヒール 2.中底 3.センタービスのどれかが壊れないと取れる事はありません。
◇デザイン、サイズ
  :使用条件が変わる為、できればこれもあった方が良い。

これらを発生率とともに把握することで対策に役立てることが出来ます。


●どこが壊れているか?
ヒールの取り付け状態をモデル化すると図の様になります。単純化することが実際の形状をみるより理解しやすいためこのように描きます。


ネジ図_01.jpg

@.センタービスがヒールから抜けている場合、ヒールが壊れていることになります。
A.センタービスがヒールに刺さったまま靴から外れている場合、中底が壊れていることになります。
BC・センタービスが折れたり、ねじ山が欠けている場合、センタービスが壊れていることになります。

もともと中底とヒールにはビスの通る穴は開いていませんから、ビスを打ってヒールを留めるという事は中底とヒールを壊しながら図の様な形にしているのです。
ビスを打つ時には必要最小限の材料を壊すべきですが、使用していてヒールが取れるという事は、必要以上に材料を壊してしまったか、あるいはもともと材料の強度不足であったかのどちらかという事になります。


posted by 株式会社 パイン at 22:05| Comment(0) | 靴作り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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