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・CADを使った靴型デザイン(その3)【ヒールのパラメトリックデザイン】
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・CADを使った靴型デザイン(その6)【靴型CADの運用モデル】
・CADを使った靴型デザイン(その7)【靴型のパラメトリックデザイン】
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2016年03月17日

CADを使った靴型デザイン(その2)

曖昧にできないパラメータ

靴型は手で作られた多数の既存モデルから、CAD上の図形データに引き直すことでとりあえずの数値化はできます。
曲面上の代表点を決め、その相対位置関係をパラメータとすることができます。
CADでは代表点が空間座標上で正確にあらわされるので、パラメータは厳密に数値としてあらわされます。

いくつかのパラメータは相関性がありますが、CADによって新しいモデルを作成するするには、ルールを明確にする必要があります。
曖昧のまま、進めると立体形状を構築してゆく過程でどこかで辻褄が合わないところができ、形状がまとまらなくなる恐れがあります。
また、決めておかないと作図が進められないという面もあります。

CAD上に限ったことでなく、一般的な靴型設計上の問題ですが、靴ではヒールの高さが1cm〜10数cmまで広範囲なので、ヒールアップしたとき足の形状変化に伴い靴型をどのように変形させるべきかは、婦人用靴型の設計では大きなテーマです。
そのなかでも、振り角ヒールカーブ角度の2つのテーマをここで考察したいと思います。


計測の難しい足のヒールアップ形状

足の裏面は、フットプリントで輪郭と圧力分布が計測でき、全体の形状は石膏などで型取りをしてきました。最近では3Dスキャナで立体像を写すこともできます。
しかし、これらは平らな台の上に立っている足のデータであり、ヒールアップした状態ではありません。
足は骨が多く、働いていないとき(立ったり、歩いたりしていないとき)はグラグラと自由に曲がってしまい、働いているときだけキッチリと形が決まるので、リラックスした状態での足の計測データはあまり役に立ちません。
踵の上がった状態で、足裏に適度の圧力分布で体重を支えているときの骨格形状を計測する必要があるのですが、手段がまだないのです。


振り角

個人差は別として、片方の足(左足を想定してください)は左右対称ではなく概形としてつま先が内側(第一指側)に向いているようにみえます。
これを靴型あるいは靴の「内振り」といいます。
この内振りの程度を角度で表すのですが、どこをどのように測るかは様々な方式がありますが、前回の「CADを使った靴型デザイン(その1)」で述べたセンターよりボールジョイントの中点(O点)が何ミリ外側に外れているかを測ることで全体の振り角を評価することができます。

さてこの振り角がヒールアップしたことによって、変化するかどうかが1つ目のテーマです。
足は外側アーチよりも内側アーチの方が長いので、踵が外側に振れながら上がっていきそうだとイメージできます。
しかし私はそのような計測データを入手しておりません。

そこで簡単な検証方法を考えました。

まず両足の内側ボール部と踵をぴったり合わせて膝を伸ばしてまっすぐ立ちます。
爪先をそのまま動かさずに踵を上げてゆきます(爪先立ちます)。
すると、ぴったり合わせていた踵は持ち上げるに従い離れてしまいます。

踵が外へ振れると言うことは、つま先が移動せずに、センターが内側に回転しながら外側に移動していることになるので、振り角が小さくなることになります。

足03.jpg足04.jpg足裏図.jpg


ヒールカーブ角度

ヒールカーブ角度とは、足裏の踵部分の乗る底面に対してヒールカーブをどのような角度で立てれば足に合うか?というテーマです。

ヒールカーブが立ちすぎている(角度が大きい)と、トップラインと踵との隙間が大きく履き口がゆるくなり、踵が抜けやすくなります。
ヒールカーブが入りすぎている(角度が小さい)と、見た目は隙間がなくなりますが、靴内部で隙間ができ靴の中で足が動き、靴擦れになり易くなります。
ヒールカーブは踵全体に合っている必要があります。

足01.jpg足02.jpg

角度は一定でよいという見解もありますが、踵骨は大きくここには関節がないので、これも一理あります。

しかし、踵骨突起部のすぐ上にアキレス腱が繋がっており、ヒールアップすると踵骨に対し回転しながら下がってくるので、角度は大きくした方が足に合うと考えられます。
過去の経験からもそのようにしてきました。
また、アキレス腱が下がってくるので、ヒールアップにしたがい、踵の深さも浅くした方が、踵のホールドがよいことも理解できると思います。

実際に機能的な靴型を3DCADで設計するためには、これらのパラメータを微妙に調整する必要があります。
曲面をきれいに生成するするのも大仕事なのに、多数のパラメータを組み入れなければならないので、靴型のデザインは本当に大変です。
辛抱しながら、ゆっくり進めるしかないのかな。
posted by 株式会社 パイン at 16:20| Comment(0) | CAD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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