▼ 記事一覧 (クリックで展開)

CAD関係
・CADを使った靴型デザイン(その1)【従来の方法との違い】
・CADを使った靴型デザイン(その2)【振り角とヒールカーブ角度】
・CADを使った靴型デザイン(その3)【ヒールのパラメトリックデザイン】
・CADを使った靴型デザイン(その4)【再現性と可逆性】
・CADを使った靴型デザイン(その5)【ルール化とリバースエンジニアリング】
・CADを使った靴型デザイン(その6)【靴型CADの運用モデル】
・CADを使った靴型デザイン(その7)【靴型のパラメトリックデザイン】
・CADを使った靴型デザイン(その8)【3DCADと3Dプリンタの活用】
・CADを使った靴型デザイン(その9)【3Dデザインのその先】
・3DCADによる設計について過去展示物
・EIGHT QUEENとメビウスの輪
・3dCADとかがみ式(3D Modeling Last between Kagami Method)

靴作り
・靴作りの用語(その1)【革の種類】
・靴作りの用語(その2)【靴の部分の呼び方】
・靴作りの用語(その3)【見えない部品】
・靴作りの用語(その4)【甲部分の部品】
・JIS規格の足囲と靴型のボールガースの関係
・かがみ式とは?(What? Kagami Method)

専門向け
・ヒールとれ問題の対策について(その1)【問題の把握】
・ヒールとれ問題の対策について(その2)【故発生の要因の考察】
・ヒールとれ問題の対策について(その3)【対策】※専用センタービス、補助釘の御案内あり
・ヒール強度について

トピック、その他
・ブログはじめます。
・科学と経済
・確率とビジネス(その1)【モンティホール問題】
・確率とビジネス(その2)【確率の理解】
・確率とビジネス(その3)【開発における達成率(完成度)】

2016年02月14日

靴作りの用語(その3)

靴のパーツ(部品)の呼び方 (2)

見えない部品
外観からは見えませんが、靴(パンプス)製作の品質に関わる重要な部品として、中底、月型、先芯があります。


中底(インソール)
IMGP1675.JPG

ヒールのあるパンプスでは鉄で補強された中底という芯材が入っています。
これは履かれた時の靴の変形を防ぐ意味と、製造時の組み立ての基礎として使われます。
つまり最初に靴型に中底が仮止めされそこに他のパーツが取り付けられ靴の形になっていきます。順序としては甲の部分(アッパー)そして底材、最後は中敷です。

先の部分は歩行時の足の屈曲(煽り:あおりと言っています)に合わせ曲がりやすいように、薄いパルプボードが使われます。以前は革や不織布も使われていました。
土踏まずから後方は体重を支え、ヒールをしっかり固定するため鉄の芯(シャンクまたはバネと呼ばれる) とファイバーボード(パルプ繊維でできた硬い板)が使われています。
ブーツパンプスサンダルなど靴のデザインによって、これら素材の厚さや組み合わせ方などが異なります。
たとえばサンダルはアッパーの支えがほとんどなく、中底だけで体重を支えるため、厚く頑丈に設計します。

形状は足裏面(木型底面)に合わせますが、これらの材料を張り合わせたものをプレス成型(癖付け)するので、細かい凹凸変化のものは作れず、くせの付き方も多少ばらつきがあります。癖付けが悪いとヒールが正しい角度でとりつけられず、歩きにくくなるなど不具合が生じるので、注意深くチェックし悪いものは中底の製造元に修正を依頼したりもします。


月型(カウンター)
IMGP1674.JPG

月型芯ともいわれます。以前は革床が使われることが多かったので床ともいわれました。アッパーの表革と裏革の間に入っていて踵部の形状の保持する役目をしています。

材料を裁断する形が三日月型をしていることから月型といわれています。

月型は靴の機能性を実現するため、靴型の踵部分と同じ形に正確に成型され、また履いても型崩れしないことが理想です。
素材はの銀の付いているもの、の部分のみのもの、レザーボード、厚い織布に樹脂を含ませたものなどです。
これらの素材によって性質がことなるので、成型するまでの工程が異なります。
銀付きの革と床革は、水分を含ませると大変柔らかくなるので、縁の部分を漉いた(薄くするため斜めに切り落とす)後、平らなまま使われていました。
接着剤(表革と裏革に付けるため)は水溶性のもの(以前は盤石という糊が使われていました)で、水分を含んだ革の中に浸透し革が乾くと月型を硬く成型することができます。

床革は同じ様に扱われますが、全体に繊維が荒く、乾燥時に縮みが大きいので、トップラインから下がってしまう場合があり、その問題を解消するため中央部分にパルプボードを貼り合わせ複合材料化する方法がとられています。

レザーボード(粉砕した革の繊維を固めたもの)は硬く、靴の製作工程では変形できないので、あらかじめ金型でプレス成型しておきます。
これをモールドカウンターといい、この頃からカウンターと言う言葉も使われ始めました。
当時(私が業界に入ったころ)は、月型は革(革床)、カウンターはレザーボードのモールドカウンターと言う認識が大半でした。
レザーボードは後から硬くするものではないので、接着剤は何でも使えますが、成型された形状と靴型形状との差異は靴製作工程上で解消されないのが欠点となります。

織布のカウンターはこの範疇にあるものを、合成カウンターとかケミカルカウンターとか呼べばよいのでしょうか、名称はまだ定着していないようです。
これはヨーロッパで開発され有名ブランドメーカーが採用したことから、国内にも浸透してきました。
長所は、革のように部位によるばらつきがなく均一であり、溶剤や熱によって含まれる樹脂を柔らかくした状態で靴型に被せるかとができる事。
一方、糸の張りにより、濡らした革ほどの柔軟性がなく、靴型から離れやすい面もあり、そのため靴型に外側から押し付けながら固める方法なども開発されています。

月型については少し詳しく述べましたが、パンプスにとって踵の正確な成型と形の復元は、機能上大変重要なのです。
つまりは、靴つくりにおける靴型は、足の入る容積を確保するためばかりでなく、形に重要な意味を持っているからです。


先芯
IMGP1673.JPG

先芯は、爪先部分の形状を保持するためのもので、月型ほど硬くする必要はありませんが、もしないとすぐにつま先が潰れてしまい指にあたるようになります

材質は大昔は革でしたが、今は織布と樹脂の組み合わせがほとんどです。(安全靴の鉄製のものをのぞいては...)
厚みや硬さは幾種類かありますが、裏革なしのデザインでは、表革の内側に見える状態で貼っているものや、厚い表革では先芯部分を2枚にスライスして間に差し込む方法もあります。

その他、サンダルなどではベルトの底に接する付け根部分が倒れないように支える芯、または立芯
薄く、柔らかい(弱い)革の、伸びや変形を抑えるための裏打ち布(材)などがあります。

これら品質、機能性にかかわりある部品は見えませんが、専門職は外観や触感などで、大体の見当は付けることができます。

posted by 株式会社 パイン at 17:16| Comment(0) | 靴作り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: